Q&A
Q1:微動とは、何ですか
Q2:微動探査と微動アレー探査は、違いますか??
Q3:常時微動と違いますか?
Q4:微動探査で用いる弾性波(地震波)は、なにですか?
Q5:波微動アレー探査と表面波探査との違いはなんですか?
Q6:微動アレー探査の地震計配置は、どのようにしますか?
Q7:微動アレー探査の探査深度は、どのくらいですか?
Q8:微動アレー探査は、浅い地盤の探査に適用にできますか?
Q9:微動アレー探査の特長を教えてください。
Q10:特長を生かした使い方を教えてください
Q11:微動アレー探査の半径は、大体どのように設定しますか。
Q12:積算基準はありますか。

Q1: 微動とはなんですか?
A: 地表には、人為的な振動や自然に起因する様々な波動が、常時伝播しています。
   特に震源を特定できない微小な振動を、微動と呼んでいます。

   微動の波動現象には、発生源、伝播経路、地下構造などによる様々な影響因子を包含しています。
   人為的な微動は、一般的には車輌振動に起因し、周期1秒以下であり、振幅に明瞭な日変化が認められる特徴があります。
   自然現象に起因する波動は、周期1秒以上で、主として気圧変化に伴う風や波浪等の自然現象が発生源と考えられます。
   振幅は、それらの現象の規模によって変化します。

Q2: 微動探査と微動アレー探査は、違いますか?
A: 同じ内容です。
   「微動探査」が商標登録されたため、微動アレー探査と呼ぶようになりました。
                                      
Q3: 常時微動と違いますか?
A: 常時微動は、地盤の振動特性を把握することが目的です。
   記録した微動を周波数分析し、卓越周波数の把握などを行います。
   常時微動では、S波構造を探査できません。

   微動アレー探査は、地盤のS波速度構造の推定を目的として実施します。
   地震計を面的に複数配置し、波動の周波数と位相速度の関係を求めます。
   このS波速度構造から、地盤の動的特性を推定できます。
                                      
Q4: 微動探査は、どのような振動(地震波)を使うのですか?
A: 微動アレー探査は、レイリー波(表面波)を用います。
   地震波は、次のような種類があります。



   P波、S波の実体波は、物質内を伝播する波動であり、境界波は物質の境界を伝播する波動です。
   表面波は、自由面に接する物質内を伝播する境界波の一種です。



   境界波は、レイリー波とラブ波があり、地球表面にも存在します。

   実体波は分散性を有しませんが、境界波は分散性を有するという違いがあります。
   波動の分散性とは、波長によって伝播速度が変わるということである。

 地震波の分散性


                                            
Q5: 表面波探査との違いはなんですか?
A: 表面波の分散性を探査原理として用いることは共通です。
   いわゆる表面波探査は、カケヤなどで地盤を打撃し、直線的に配置した複数の地震計で表面波を観測します。
   微動アレー探査は、地表に面的に配置した地震計で、自然の微動を観測します。
   微動アレー探査は、人工振源を用いません。

Q6: 微動アレー探査の地震計配置は、どのようにしますか?
A: 基本形は、中心点と円形正三角形の頂点の4点の配置です(SPAC法)。
   地盤の特性や探査深度によって、半径を変えます。
   地盤にあわせて複数のアレーを組み合わせて、探査いたします。

   シングルアレー      ダブルアレー


                                      
Q7: 微動アレー探査の探査深度は、どのくらいですか?
   表面波探査と探査深度は、異なりますか
A: 微動アレー探査の探査深度は、極浅層地盤から、数千mまで適用できます。
   表面波探査の探査深度は、一般的に数十mと思われます。
                                      
Q8: 浅い地盤の探査に適用にできますか?。
A: 微動アレー探査は、浅層地盤の探査に適用できます
   微動アレー探査は、これまで大深度探査で多く使われてきました。
   浅層地盤調査には、ほとんど適用されてませんでした。
   今後土木地質、環境地質、水理地質などの分野に普及したいと考えています。
                                      
Q9: 微動アレー探査の特長を教えてください。
A: 本探査法の主な特長は、以下の通りです。
    ・観測作業 : 地震計設置と配線作業であり、簡便である
    ・無公害  : 騒音・振動・廃棄物が発生しない。
    ・探査成果 : S波速度構造が得られ、N値と対比できる。
    ・探査場所 : 集落・市街地でも実施可能。
    ・適用地盤 : 数mの土質地盤〜3千m超の基盤調査
    ・非破壊  : 地表や地層に穴を開けない(汚染拡大しない)

   S波の速度は、工学的に重要な指標であり、
   そのS波速度分布を特にボーリングやPS検層をせずに、把握できることが、本探査法の大きな特長と考えます。

                                      
Q10: 特長を生かした使い方を教えてください
A: ボーリング機械の搬入できない場所での調査ができます。
   物理探査が難しい市街地でもできます。
   不透水層に穴をあけないので、汚染拡散の心配がありません。
   ボーリング本数を少なくすることができます。
   耐震設計上の工学的基盤の確認ができます。

   ボーリング調査と比較すると、
    ・立入が容易(地主の同意が得やすい。搬入路が不要)。
    ・給排水設備が不要。
    ・産業廃棄物が出ない。
    ・調査期間が短い。
   などの利点が、挙げられます。
                                      
Q11: 微動アレー探査の半径は、大体どのように設定しますか。
A: 硬質地盤の極浅層が対象であれば、半径1mや3mで探査できます。
   超軟弱地盤で、探査深度数十mでも、半径を30m以上にしなければならないときがあります。
   一般的な地盤であれば、探査深度は、半径の5〜10倍程度と考えます。
   探査深度100mであれば、3m、10m、30mのアレー配置が考えられます。

   探査前にアレー半径の設定などの周到な検討が必要です。
                                       
Q12: 積算基準はありますか。
A: 積算基準は、まだ出版されておりません。
   ただボーリング掘削、PS検層よりも、かなり費用は軽減されます。
   積算の試案を作っております。